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『ひぇ~やっぱ国家の特別仕様車ともなると速ぇナァ~…一般車がどんどん避けていきやがるッッ、キャッホ~イ!』
後部座席で一人はしゃぐ若菜を見て運転していた若い警察官は複雑な苦笑いをした…パトカーは時折サイレンを鳴らしながら真夜中の闇を切り裂いて行く…
『………』
『んだよッ、まだ落ち込んでんのかよッ、元気出せよ猛ッッ!お前はよくやったよッッ、な?』
若菜の無意味を装う明るさはきっと自分の病んだ気持ちを落ち着かせてくれるものなんだと猛は若菜を見て思った…
『!ッッいッ、イテッ、何だよいきなりッッッ!?』
若菜は猛の頭を叩いた…
『行きしなのタクシーの御礼だ馬~鹿ッッ!誰が高校生だバッキャロッッ!ちょっと成長早いからって人ん身体ダシに使うナッ馬鹿ッッッ!』
『何だ君達タクシーなんかに乗ったのか?小学生のクセに?』
運転席の警察官の問いにあ~違いますッ、こっちの話と二人は慌ててごまかした…
『まぁ大目に見てやるかッ、ハハハ…』
若い警察官は甲高い声で笑った…
『ヘェ~サツの中にゃ物分かりのいいのもいんだッ、』
『こッ、コラしっッッ、聞こえるってッッッ!』
パトカーは二人の家の近くの目立たない路地で止まった…
『家の人に説明しようか?』
『あ、アァ~いい、いいですッッ、ハハハ…ありがとうございましたッッ!』
二人は頭を下げた…
『今の警察官はね、規則ばっかりの頭でっかちばかりだから…ハハハ…たまにはいいだろこんなの居ても…』
少し変わった警察官に二人は顔を見合わせた…
『死んだ婆ちゃんの遺言でね、規則一辺倒の仕事してちゃ長生き出来ないよってねッッ!じゃ気をつけてねッッ…』
若い警察官はパトカーに乗り込もうとした…
『大丈夫ですよ、おじさんは大往生ですからッッ!長生きしますッッ!』
猛の言葉に警察官は目を丸くした…
『だいおうじょう?』
『はいッ、だってまだ【24563】日残ってますもんッッ!』
『!ッッ…はぁ?』
猛と若菜は笑いながら手を振り帰っていった…
『…な、何なんだあの少年…??』
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