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…こうして雛形秀作の人生は幕を下ろした…
『しかし不思議なもんだよな…人生ってよッッ…』
『へ?藤谷さん何しみじみ語ってんのさ…』
道すがら若菜はぼんやりと星空を眺めていた…
『人間自分は一体いつ死んじまうんだろって皆ビクビクしてんのによッ、それがお前にかかりゃいとも簡単にこうババッ!っと見抜かれちまうんだから…』
猛は複雑だった…雛形のように残り少ない人生の数字を見せ付けられる事もあればさっきの警察官のような大往生に出会う事もある…時々人それぞれの人生の時間をまるで自分が支配しているかのような錯覚に陥るのだ…
『人間一人一人天から授かった何びとたりとも変え難いもの…寿命…カァ~』
冬の夜風はしんしんと二人の身体を冷やす…
『寄ってけよッ、ウチ…』
『え?…いいの?』
『だってお前ん母ちゃんにそう言ったべなッッ!』
若菜は白いニット帽を頭から取った…長くて艶やかな髪が夜風に舞った…
『…何見とれてんだよッッ!いくら俺が魅力的だからってよッ、ホラ金出せよッッ、見物料ッッ!』
若菜は逃げる猛を追い掛けながらじゃれあった…
『なぁ猛……』
『ん?…何?』
『もし俺ん額に…寿命の数字浮き出ても…絶対俺に告るなよなッッ!…』
『………』
若菜は急に真面目な顔になると猛に伏し目がちにそう言った…
『……うん分かった…言わない…』
猛は笑った…若菜はタクシーの恥かかされた残りだと言って何度も猛の頭を叩いていた…
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