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『おかえり兄ちゃん…今日は何人見えた?』
部屋に入ると猛の一つ下の弟賢太が車のプラモデルをせっせと作っていた…
『ハァ~…え~と10人弱ってとこ…駄菓子屋の清美婆ちゃんのも見えてしまった…』
『!ッッえぇッッ、清美婆ぁの寿命がッッ、で、で…なん、あと何日生きれるんだよ清美婆ぁッッ!?』
賢太が血相を変えて猛に詰め寄った…
『そッ…そんなぁ、たったそれだけ?…アァ僕清美婆ぁ大好きだったのに…来年もう駄菓子買いに行けなくなるのかよぉ~ッッ、春の遠足どうすんだよぉ~ウキャ~!』
賢太は頭を抱えて悔しそうに足を踏んで暴れた…
『バカ賢太…それを見る僕の身にもなってみろよッッ…全然知らない人のならまだましだけど…僕だってわざわざ親しい人の寿命なんて見たくないっつぅのッッ…』
『ならさッ、見たくない人のだけ見ないって訳にはいかないの?』
賢太は乗り掛かるように猛に質問を投げ掛けた…
『うん…見えるのはホント無差別ってゆうか…でもって見ようと思っても意識的に浮かび上がる訳じゃないみたい…絶対見たいって時に限って見えないんだこれが…』
『へ~ん、融通の効かないヘンテコ超能力なんだね、兄ちゃんの超能力って…見たい時に見れなきゃ全然役立たないじゃんそれッッ!でも僕は信じるぜッ、その痛快ヘンテコ超能力ッッ!』
賢太は一気に興味を削がれたのか漫画本を読み始めた…
『見えないほうがいいんだよ…人間の寿命なんてもんはさッッ…何か僕だけ見えた人達のその人生背負わされてるみたいで凄く損ぴな気分…』
猛はランドセルを置くと賢太の作りかけのプラモデルを作り出した…
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