⏳【30000】を捨てた女⏳

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翌日猛が学校に行くと昨夜のテレビの自殺騒ぎに映る猛の映像でクラスは騒然としていた… 『おい高橋ッ、何であそこにお前がいたんだよッッ!学校中の噂になってんぞッッ!』 『なぁ何があったのか詳しく教えろよッ、あの女の人と話したのかッ、まさかお前が飛び降りるの止めさせたとかッッ!』 あちこちから猛への尊敬の言葉と妬みの言葉が交錯する… 『いやぁ~凄いッ、凄いよ高橋君~ッ、やっぱり君は初めから先生ただ者じゃないと思ってたよッッ!自殺者の説得に当たるなんて我が幡小の誇りだよッ、ワッハッハ…』 手の平を返したように担任の葛西も手柄を立てた猛を労っていた… (フン…いい気なもんだよッッ…) 机に頬杖をつきながら猛はため息をついた… (松島さん、落ち着いたかな…) 松島霧は涙を流しながらゴメンなさい、もう迷惑かけませんからとひたすら警官達に謝っていた…まぁ善きにつけ悪しきにつけ自分が少しでも彼女の《生きる契機》になったのならそれでいい…猛は窓の外を眺めながら呟いた… 『この目立ちたがりッッ、いい格好しいッッ!』 猛は頭をパンとはたかれ後ろを振り向くとそこに藤谷若菜が苦笑いしながら立っていた… 『フン、一躍ヒーロー気取りだなッ、ヘナチョコバッタのくせにッッ!』 『ふ、藤谷さん…』 若菜は猛の机の上に不躾に腰掛けた… 『けどまッ、よかったんじゃねッッ?今回もまたお前のそのヘンテコ唐変木超能力のお陰で助かった人間もいたってこった…何も死ぬ覚悟をさせる事ばっかが使命じゃねぇ、《生きる努力》をさせっ事もお前の大事な使命なのかもしんね~…いつの間にかお節介になって何でもかんでも首突っ込む最低な悪癖作っちまったけどよッッ!』 『…藤谷さん…』 若菜は馬鹿ッッ、と猛に一言呟くと自分の席に戻って行った… (ハァ~しかしあの服のセンスどうにかなんないの~ッッ?) 猛は紫の生地に気味悪い死に神の絵柄の入った服を着た若菜の後ろ姿を見て微笑んだ…
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