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藤谷若菜と別れた後、猛は家には帰らずに真っ直ぐ商店街の外れの小さな本屋に立ち寄った…商店街の中にも大きな本屋があるにはあるのだが近所に自分の顔を知られている上に余りにも規模が大き過ぎて猛には落ち着かなかった…この外れの古びた本屋の方が客も疎らだし人と顔を合わせたくない猛には絶好の隠れ家的場所でもあった…
(え~と…新しい本は入ってないかな~)
猛は医学書全般と記されたコーナーでいつも足を止める…
(精神心理学…見えない物をみる力…ウ~ン、違うナァ~…こんなん感じじゃないんだよな~こうもっと科学的なヤツ…小学生にも解るような簡単なのないかなぁ…)
猛は突如降って沸いたこの奇妙な能力は自分の中の精神的乱れから来るものだろうとひそかに感じていた…何か脳の中にストレスを感じた時、または精神に乱れを感じた時に他人の額に別に見たくもない寿命の数字がポンと浮かび上がる、そう推測していた…そしてそれが原因であるのならこの身体を治療さえすればこの忌まわしい能力は自分自身の中で封印出来るのではないか、猛はそう期待もしていた…
『随分難しい本探してんだね君ッッ…』
突然背後から声がかかり猛はびくついた!
『あ、ゴメンゴメン…脅かしたかな…』
猛に声をかけてきたのはこの本屋の店主だった…
『いやぁね、いつも不思議に思ってたんだよ…君くらいの小学生なら真っ先に漫画雑誌コーナーに飛び込んで来るのが普通だからさ、だから不思議だなぁ~って思わず声かけちゃって…ハハハ』
眼鏡がよく似合う店主はまだ若くおそらく猛の父親と同じ年頃だろう…いつもよそよそしく俯きながら店に入る猛には店主の顔などこれまではっきりと確認した事がなかった…
『何なら探そうか?…本…題名とか解るかな?』
『…あ…い、いぇ…』
猛は店主のせっかくの親切を受け入れられずそそくさと店を出ようとした…猛は去り際チラッと店主の顔をみたその瞬間思わず声を上げそうになった!
(み、見えたッッ!…え……嘘…【25】…!)
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