一話-人生の転機-

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「ちょ、ちょっと!どこに行くのよ!」 「どこって……帰るんだよ」 リユスは何を当たり前のことを聞くんだ、といった顔をした。 そりゃ、仕事が終われば帰るのは当たり前なのだが。 「待ちなさいよ!あんたは……」 「一般人プラス貧乏人に名前を聞くのか、最近の名門は?」 リユスは侮蔑と嘲笑を思いっきりこめた笑みを浮かべた。 アイラは悔しそうな顔をすると、下唇を噛んだ。 「覚えておきないさいよ……!」 「会うことないから忘れる」 リユスはそう言い捨てると、また歩き出した。 そして懐から紙を出すと、それを丸めて捨てた。 「依頼終了。協力者一名っと」 リユスはそういうと歩き出した。 残されたアイラは悔しそうな顔でその場に座っていた。 「何よアイツ何よアイツ!」 アイラは立ち上がると、槍を腰に収めた。 ふと地面を見ると、リユスが捨てた紙が落ちていた。 アイラはそれを拾い上げてみると、そこには依頼の内容が書かれていた。 「な、何よアイツ。ギルド【フラグメント】の者だったってわけ?」 アイラは紙を握り締めると、リユスが歩いていった方向を睨んだ。 「だけど、名前は覚えたわよ……!リユス!」
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