三話-落ちこぼれの証明-

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リユスはノイアとともに、教室へ向かっていた。 ノイアは楽しそうにリユスと話してた。 なんで眼帯をしているのとか、 右手は怪我をしているのとか、 そのマフラーはどこで買ったのとか、 色々聞いてきたりもした。 しかし、リユスは先ほど言われていた『落ちこぼれ』という言葉が気になっていた。 「……ということなんだけど。聞いてる、リユスくん?」 「え、あ、ああ。すまん、聞いてなかった」 「まったく、どうしたの?」 ノイアは心配そうな顔で聞いてきた。 リユスはその顔を見ると、さらに疑問に深まってしまった。 そうしていると、いつの間にか教室についていた。 多数の生徒が、席についていたり、一箇所に集まって談笑している。 リユスが入った瞬間は、生徒達は驚いた反応をした。 右目に眼帯をして、右腕に包帯を巻かれ、この季節にマフラーをしていては、誰でも驚く。 しかし、ノイアが入った瞬間、教室にいた全員が侮蔑と嘲笑の目をノイアに向けた。 ノイアはその目に慣れているのか、顔色を一つも変えない。 「……ノイア」 「大丈夫だよリユス。僕は慣れてる」 違う、そうじゃない。 聞きたいのはそういうことじゃない。 なぜ落ちこぼれと言われてるんだ? リユスは、会って間もないこの青年に、確かに友情と同情を感じていた。 リユス自身は、No.3に会った事はない。 お互いに面識も、名前も知らない。 だから、始めにノイアの名前を聞いたときにも気づかなかった。 だが、それにしてもこの疎外感は異常すぎる。 リユスはそう考えていたが、ノイアがさっさと席に座ってしまったため、それ以上聞くことができなかった。 リユスもさっさと席に座ることにした。 すると、隣の席に誰かが座った。 隣を見てみると、目立つ灰色の髪をした女子生徒が座っていた。 美貌の神がため息をつくほどの顔立ちをしている。 その顔に彫られている不思議な形の龍の刺青が特徴的だった。 制服を着るはずなのに黒を基調とした踊り子の服を戦闘用に改造したような服を着ている。 腰からは、抽象的に龍が描かれた薄い腰布を巻いている。 目立つのは、肩に立てかけている剣。 歪んだ平行四辺形のような形に、子供の肩ほどの幅ほどある片刃大剣。 よく見ると、これにも龍が彫られていた。
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