Deep Bond

太田 亜季 〔Ⅰ〕

　そう、何でもかんでもうまく行くはずが無い。そんなことはわかっている。けれどもそれを認めなくない。それが人間なのではないだろうかと思う。
　私は多くの人たちに認められたくて、そのために出来ることは何でもした。それが功を奏したのか、私を慕う人が大勢できた。それの殆どがクラスメートであった。しかしその中にも当然一人や二人、私に近付こうともしない者がいる。
　それが篁祐爾と菊田銀次だった。
　篁は菊田を頼りきっているらしく、実際に私に歯向かっているのは菊田一人だった。歯向かっているとは言っても、私が勝手にそう思っているだけなのだ。彼がどうしてこちらにこないのか。本当のところはわからない。
　私という人間を信用していないのかもしれない。それとも、誰かの下にいること自体が気に喰わないのだろうか。
　いつになっても、その疑問は解けない。我慢の限界に達した私は、放課後の教室に一人残っている菊田に尋ねてみた。すると彼は、思ってもみない言葉を発したのだ。