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鞄ってポーチのことだったのか。ボストンバックのほうかと思っていた。そこでさっきまでの宴会のことを思い出した。そうだ、二葉ちゃんは宴会から抜け出したときポーチは持っていかなかった。 「双葉ちゃんは犯人じゃないですよ。その鞄は宴会場においていきましたから」 みんながこちらに顔を向けた。 「会長が言うように宴会中に盗ったというのはありえないですよ」 「やっぱり双葉ちゃんじゃないんだな。でもなんで二葉ちゃんの鞄に入ってたんだろう」 詠二が首をかしげた。 それについてもだいたい答えがわかった。 「会長はなんでポーチのほうに財布がはいっているとわかったんですか」 会長の顔がこわばる。 「ボストンバックもありますしどちらの鞄に入っていたかはわからないはずではないですか?」 「それは…」 「さっき会長が言ったように部屋に自由に入れてこんなことができるのは二葉ちゃんではなく、会長だけなんですよ。宴会中ポーチが宴会場にあったことを考えて、宴会の後部屋に戻ってから双葉ちゃんの鞄に自分の財布をいれたんじゃないですか」 会長の手が小刻みに震えている。 「ほんとに会長がやったんですか?」 双葉ちゃんのその言葉で会長が泣き崩れた。 「ごめんね、二葉ちゃん。ごめんね。」 「なんでこんなことをしたんですか?」 「わたしは詠二君が好きなの。なのにバスの中でも双葉ちゃんとばっかり仲よくして…。双葉ちゃんが憎く見えてきて。それに私が被害者になれば詠二君も私のことを見てくれると思って。ほんとに双葉ちゃんごめんなさい」 双葉ちゃんが座り込んで泣いている会長の肩を抱きながら言った。 「いいですよ。私もそういうのわかりますから。気にしないでください」 とりあえずよかった。このまま気まずい状態のは避けたかったからな。 「会長」 突然詠二が声をあげた。 「すいません。俺もずっと会長のことが好きだったんです。さっさと告白すればよかったのに。なかなか勇気が出せなくて…。会長付き合ってください」 「こんな最低のことをしたのにいいの?」 「もちろんです。こんなに俺のことを思ってくれているとわかりましたし。」 「そうですよ、会長。よかったじゃないですか」 双葉ちゃんがほほ笑みながら言った。 「詠二君、二葉ちゃんありがとう」 また泣き出した会長を詠二が優しく抱きよせた。 なんだこの展開は…。ここまでハッピーエンドだと笑うしかないな。
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