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「なんでせっかくの休みなのに出かけなきゃいけないいんだよ」 「そんなことゆうなよ。せっかくサークルのみんなと旅行に来てるんだからよ。うちのサークルなんてかわいい子多いし、この機会にもっと親密な関係になれるかもしれないじゃんかよ。」 ほんと詠二は女のことだけ考えてれば幸せなんだなと心のなかでつぶやき目を閉じる。 俺たち(本に親しむ会)のメンバーは忘年会を泊まりがけで行おうということで温泉旅館へと向かっていた。でこんかいの旅行を企画したのはこの狩野詠二(かりのえいじ)だ。詠二は俺の幼馴染で小学校のときに転校してしばらく会うこともなかったのだが、たまたま同じ大学であることがわかり、それからは一番の親友だ。 「ねー双葉ちゃん。今日行く宿は温泉もあるんだよ。一緒にはいろうよ」 また詠二が女の子にからんでる。むかしはこんな女たらしじゃなかったのに。まあ、小学生のときからこんなだったら困るが。 「やだー、狩野君って女の子なら誰でもいいんでしょ。まあ、神崎くんとならはいってもいいかなあ」 「あいつは女の子に興味ないんだって。せっかく俺がいつもおいしいイベントに誘ってやってるのに全然乗らないんだもん。」 「だからいいんだよ。神崎君なら本気だってわかるもん。で神崎君はわたしのこと誘ってくれないの?」 なんて言って双葉が話をふってくる。またくだらない話だなと思いながら 「そんな話を俺にふるな」 「かわいい!照れちゃって」 いや、べつにめんどくさいだけなんだが。そんなおれをほっといてまた別の話で盛り上がっている。 このときはまだもっとめんどくさいことに巻き込まれるなんてことは考えてなかった。
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