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「神崎君、狩野君のことよろしくね」
会長―湯谷志亜子先輩が心配そうに詠二のことを見ながらはなしかけてくる。
宴会で詠二が酔いつぶれてしまったために俺がその世話をしなくてはいけなくなったのだ。
「狩野君調子にのっていっきに飲むからだよ。自業自得だね」
と双葉はたいして心配していないように笑いながら大の字にたおれている詠二のほっぺたを突っついていた。
その哀れな姿に同情を覚えつつも、結局部屋に運んだり世話をしなくてはいけないのが俺だと思いだし
「いたずらしちゃうか」
と詠二の鼻をつまんでみる。
「うーうーうーふがっ」
苦しそうに詠二が悶え、動きが止まった。
「あっ、死んだか」
「こらっ、かわいそうでしょ」
会長が
「神崎君もこういうことするんだね。まじめな人だと思っていたのに」
双葉が俺の顔をのぞきこみ微笑みながら言った。
その笑顔にドキッとしたが、それをごまかすために詠二をだきおこした。
「じゃあ詠二を部屋につれていきます」
「神崎君ほんとに悪いけどよろしくね」
そこで会長と双葉とわかれ俺たちの部屋へ戻った。
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