6人が本棚に入れています
本棚に追加
/42ページ
おばさんが担当医に聞いたときハッと我に返った
俺も、おばさんも答えに息を飲む
「はっきりと戻るとはいえません。すぐ戻る人もいれば、戻らない人もいますから。」
医師の答えは曖昧だった。
「記憶が戻らなくても、まわりの皆さんは理香さんのことを支えてあげてください。一番戸惑っているのは本人なんですから。」
話を聞いた後の俺の心は複雑だった。
『記憶が一生戻らないかもしれない』
そんな考えしか浮かばない。
戻る可能性だってあるのに、もし戻らなかったら・・・と、どうしてもマイナス思考になってしまうのだ。
「ねえ、旭くん。」
いつの間にか病室に戻っていた俺とおばさん。
おばさんは、眠っている理香と、その隣で寝ている何も知らない翼の頭をなで、布団をかけなおしながら俺に言った
最初のコメントを投稿しよう!