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君は突然問いかけてきた。
『風って何だと思う?』
何だろう?
考えたこともなかった。
目には見えない。
でも感じとることはできる。
抱きしめることはできない。
でも抱きしめられてるようだ。
何なんだろう?
君の質問に答えられなかった。
君は真面目な顔で言う。
『僕は風になりたいんだ。』
何言ってるの?
そんなことは
中学生がいうことなんかじゃない。
いや。
幼稚園生にも
ほとんどいないはず。
私が黙っていると
君は続けて言った。
『もっと厳密に言えば羽ばたきたい。あの空と名付けられた青い世界に行ってみたい。…だって不思議だと思わない?地球は宇宙空間の中に浮かんでいる。僕達の知る宇宙の色は黒。ここから見える空は青だ。何でだろうね?もしかすると風になれば何か分かるんじゃないかな?僕はね、そう思うんだ。だから風になりたい。』
そうか。
そうかもしれない。
確かに
私達の住むこの地球、そして宇宙には謎が多過ぎる。
『私も風になりたい』
私は崖の端に立つ君を押した。
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