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次の日…。
おれは朝、目覚ましで起き、バイトへ向かった。
ミキの為にガンバらなきゃ。
そう心に言い聞かせながら、バイトをこなした。
レストランでのバイトではなく、掛け持ちしていた工場での仕事だった。
運命の時が迫っていることに、気付くはずもなく、おれは必死に働いた…。
そして夕方…。バイトが終わり、疲れ果てたおれはケータイを開け、ミキにメールをした。
<今終わったょ♪>
着替えていると、ミキからの返事がきた。
<お疲れ様☆〃噴水の所で待ってるね♪>
<わかったょ♪>
メールを返したおれは、寒い中、ミキを待たせる訳にはいかないと思い、急いで噴水へ向かった…。
あの…思い出の噴水へ…。
昨日買ったペアリングを持ち、走って噴水へ向かうおれ…。
ミキに早く会いたかった。疲れを忘れさせてくれるミキ…。
笑顔が早く見たかった。
その一心でおれは走った。
(ピーポーピーポー…!)
すると前から救急車が走って来たー。
噴水へ向かうおれの隣を、救急車は走りぬけていった…。
おれはうしろを少し振り返った。救急車は渋谷の一本道を走っていった。
その時のおれは気にも止めなかった…。
そしておれは噴水に着いた…。
辺りは騒然としていた…。
噴水のすぐに近くの交差点で、事故が起こったみたいだった。
パトカーと白バイが交差点の隅を囲み、そこには歩道に突き抜けているトラックがあった。
フロントは軽くへこんでいた。
おれは、まさか…と思い、そこに走った。
警察官の止まれという声を無視し、テープで囲まれた所へ入った。
そこにはまだ血が残っていた…。
そしておれの足下にはケータイが落ちていた…。
少し離れた所には、ちぎれた鍵のストラップが落ちていた…。
ミキ…?
おれの手からはペアリングの箱が抜け落ちた。
おれはなにがなんだかわからなくなり、呆然としていた…。
そしておれはその場に膝をつき、座りこんだ。
ふと我に帰ったおれは、ペアリングと、ミキの鍵のストラップを持ち、病院へと走った…。
無我夢中で走った。
なにかの間違いであってほしい。
なによりも、これが事実だとしたら…
受け入れたくなかった。
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