何が本当で、何が嘘なのか

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「奪うこと」 『奪う?』 「そう、この国から“アリス”を奪い、“アリス”から記憶を奪った」 奪う…ってのは、取るってことで… 確かに、“アリス”をさらったのだから、この世界から“アリス”を奪ったことになる でも、“アリス”の…俺の記憶は……? 奪われたのなら、こうやって思い出せてるのはおかしい その“ルール破り”が、それを許すとは考えにくい 「まぁ、“アリス”は特別だから完全には奪えなかったけどね」 なるほど、少しずつ洩れ出てるワケね 『…ちょっと待て。この世界から“アリス”を奪うって』 あれだけ名前に固執したやつらが、互いは役で呼び合う …思い出せ 『時計屋……そうだ、その人はおかしい』 役で呼び合う彼らを見て、何も思わなかった あれだけ、名前を呼べと言われたにも関わらず それは、理由が分かってたから 『“アリス”のいない世界で、どうしてその人だけ“アリス”に対する役で呼ばれるんだ?』 理由は簡単だ “名前”をつけた張本人が、忘れているからだ 「やっぱり、“アリス”は“アリス”だな」 『は?』 「いや…時計先生に会った時に、全て聞けばいい」
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