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「そうだ、見習い。お前、まだ“名前”なかったよな?」
「そりゃ、“アリス”には初めて会ったことですし…」
『そういえば、役って言ってたな』
「あぁ、“アリス”がさらわれてから出来た役だからな」
役ってのは、増えていくものらしいな
役が増える度、俺は“名前”を付けなきゃなんねぇのか?
…俺、センスないんだけど
「“アリス”に“名前”を付けてもらえるなんて、光栄です!」
この少年は、少し表と裏があるようだ
先程エースに向けていた冷ややかな目と違い、今は歳相応の幼い顔だ
…俺もこれくらい幼くするべきなのか?
これほど二面性があるのもどうかとは思うけど
「ほれ、“アリス”」
「お願いします!」
「見習いは、いいなぁ」
「私達にも役があれば…」
いや、そんなに期待されても困るのですが!
『う~ん…』
その少年の左頬には、“J”のマークがある
「不思議の国のアリス」では、トランプが兵隊だ
確か、エースは“A”
流石にエースの顔のどこにもそのマークはないが…
『“ジャック”…』
そう思うと、その“名前”しか出てこなかった
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