仲間

2/8
7人が本棚に入れています
本棚に追加
/27ページ
「おはよ~。」 「お、今日ははやいな。」 「あんまりずっと野球してっと、丸焦げになるぜ。」 鞄を引っ掛け、教室に入った渚は、軽くハイタッチすると、躊躇無く男子の輪の中に入った。一瞬、女子の視線が集まったが、ゆっくりと散らばった。 ケラケラと笑ったり、おどけたり…。そんな渚の姿は、周りの男子と変わりない。 その渚を遠巻きから、蒼衣は眺めていた。 この所、蒼衣への風当たりは、悪くなる一方だった。野球部内では、むしろ良い。 しかしそこから一歩、外へ出た時の視線。無言と言う威圧。 それらが徐々に、蒼衣を苦しめ、蝕んでいた。 ―――――死ね――――― ―――――消えろ――――― 下駄箱の中の紙切れを捨てるのが、毎日の日課になっていた。 「気にしたら、きりないよね。」 自分に言い聞かせるように、呟いた。そして、周りに誰もいない事を確認し、足早にこの場を去っていった。
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!