3.

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授業開始からずっと鷹史の事について話す機会を俺はうかがっていた。 今が絶好のチャンス。辺りには聞こえないくらいの小声に配慮して話題を切り出すことにした。 「でさ、南都」 「何?」 鷹史との話題だとも思わずに、授業をサボりついていけない俺からの質問だと意気込んでノートから目を離すと“僕に任せて”と自信に満ちた眼差しを向ける。 その様子に思わず笑ってしまいながら、真面目な南都にはすまないと思いつつ鷹史の方を指差した。 「鷹史がまた落ち込んでるんだけど…?」 指に吊られるようにして視線を動かす先に机に顔を伏せて、明らかにふて寝を決め込んでいる鷹史が見えた。
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