3.

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何となく教室を出て廊下を歩いていれば、自然と足は保健室へ向かっていた。 先ほどの南都の態度や鷹史への想いを目の当たりにした紅羽の頭の中は恋人である保険医の顔が浮かんでいた。 何か…会いたくなった… このまま保健室へ向かおうと最短ルートで歩いていたが、ふと授業が終わってすぐに来たと思われるのは癪に触るのでわざと遠回りをすることにする紅羽だった。 保健室へ向かっている間に始業のチャイムが鳴ると最短ルートに変え、自然と早歩きになっていることに気づくと小さく舌打ちをして誤魔化すようにゆっくりと歩き出す。 やっと目的地へ着くと、いつものごとくノックも無しにドアに手をかけて開けようとする。が、開かない。 仕方なく紅羽は、ドアの前にもたれて立つと蓮が帰ってくるのを待つことにした。
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