眠り

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実家に着いた。 だが久しぶりの帰郷を楽しんでいる場合ではない。 とにかく母に電話しよう。 母は今帰る所らしい。 生憎鍵は持っていない。 仕方無いので家の前で待つ。 帰ってきた。 兄貴は、奇妙な事に躯中のありとあらゆる神経が総て無くなっていると言う。 そして、先程連絡が入った。 たった今兄貴が亡くなった。 そこまで兄弟仲は良かった訳ではない。 涙は出なかった。代わりに込み上げて来たのは、兄貴にこんな死に方をさせたモノへの憤怒、憎悪、ありとあらゆる、負の感情を詰め込んだ、モノ。 もしも兄貴を死に到らしめた、モノに到達したならば、俺は、そのモノを蹂躙し、己の罪深さを悔い改めさせ、後悔と絶望の淵から、叩き落としてやる。 両親には申し訳無いが、大学には休学届けを出す。 その日は金曜日だった。
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