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目が覚めた。
これが死なのか。
無の中に埋められてゆく様。
悪くないのかもしれないが、私にはやり残した事が有るのだ。
もしも神がいるのならば、私を救ってはくれまいか。
そんな虫の善い話なんぞ有るのならば詐欺の類だろう。
神なんぞ居て堪るか。
いるのならまだマシな世界になった筈だ。
どうでも良い、今は頗る思考が働く。
ならばこの悠久の時を思考し過ごそう。
これはまるで隠者の様な暮らし。
何時かまた輪廻の鐶が私を迎えに来るのを待とう。
そして赦そう。
誰を?
勿論あの声の主をだ。
さて眠くなってきた。
次に目覚めるのは輪廻の鐶に入るときか、はたまたもっと先かは解らない。
でも、惟一つ解ることがある。
何なんだ?
あの声の主は、きっと優しい心を持っているって事だけだ。
彼の物語が終り、誰かの物語が始まったのは、誰も何曜日かは解らない。
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