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―またきてね、か。
今日は久しぶりに人と話した。人、じゃなくて妖精か。
この館は、普通の人では絶対に入れないように出来ている。
わたしはよく知らないけど、わたしが作った空間には、必然的に「結界」というモノが張られるらしい。
描き上げた"今日の"幻想郷を、今まで描いてきた幻想郷の上に重ねる。これで…何百枚目になるだろう。ここにきてから、わたしは毎日この風景を描いている。
別に、だからといって何も思わない。わたしが選んだ道なのだから。
この「描いたモノを自分の意思で具現化できる」という能力は、幻想郷において危険な存在であるらしい。
わたしは幽閉されている。
否、自分を幽閉している。
―少し、昔の話を思い出した。
あの時のことを考えると、今でも不思議に思う。
わたしはどうして、あの子に「またきてね」なんて言ってしまったんだろう。
きっと、また会えなくなっちゃうだけなのに。
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