おこづかい

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大叔父さんの部屋に入ると、大叔父は僕に 「昨日も今日もありがとうな。…ほら」 と言って、僕に二千円を渡してきた。 僕がキョトンとしていると、 「頑張ってくれたおこづかいだよ」 と、大叔父さんは笑顔で言った。 僕はありがとうと言って部屋を出た。 急に自分が情けなく感じた。 確かに手抜きはしてないけど、心の中では愚痴ばっかり言っていた。 それなのに大叔父さんは、僕に 「ありがとう」 と言ってくれたんだ。 急に辛くなった。 今までの自分も思いだした。 いじけて、お見舞いに行かなかった自分。 おばあちゃんに会えなくなった事を兄に責任を押し付けた自分。 お葬式で学校を休める事になって喜んだ自分。 お墓参りの為の草むしりなのに、心の中で愚痴を言っていた自分。 神棚の掃除すら愚痴だらけだった自分。 恥ずかしくなった。 同時に… おばあちゃんの死が突き付けられた気がした…。 親に後から聞いた話。 おばあちゃんは僕が来なかった事を残念がって、 「そうか…。ともちゃんは今日きてないんだねぇ…。 次に来たら、欲しい物を聞いて買ってあげなきゃねぇ」 「頑張って、病気も治さないと…」 そう言っていたそうだ…。 決して裕福ではないおばあちゃん。 自分の少ない年金で、色々なものを買ってくれたおばあちゃん。 そんなおばあちゃんに八つ当たりした事もあった…。 あの時のおばあちゃんは凄く悲しそうだった。 最期の最期に会ってあげられなかった自分。 おばあちゃんの最期の僕に対する気持ちはどんなものだったんだろう。 あんなに良くしてくれたのに…。 きっと悲しかっただろうな…。 あの時、意地を張らずにお見舞いに行ってれば結果は変わったかもしれないのに…。 今となってはもう遅いね…。
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