3. 会話

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「…やっと、」 不意に零れた言葉に、福徳はピクリと反応して、眼だけを動かして俺を見る。 「やっと、まともに話してくれた」 福徳とこんなに会話したの、初めてかもなぁ。 嬉しくなって笑う俺を、横目で見た福徳は黙ったまま、また窓の外に視線を戻した。 「……明日も、来るん?」 「…え?、あっ…えぇっ!な、何?!」 初めて、福徳の方から話し掛けられて、ビックリし過ぎて思わず吃る。 「…やからさ、」 クルリと振り返り、俺を見据える。 「明日も来んのかって、聞いとんねん」 彼は、ピクリとも表情を動かさないで、俺に問い掛ける。 「く、来るっ!!明日も明後日もその次も!ずっとずっと、福徳が飽きるまで此処に来るよ!」 こんな必死になって、バカみたいだ。 「…迷惑窮まりないな」 けど、福徳は笑ってくれたから。 ほんと小さくだけど、微笑んでくれたから。 俺は、バカで居ようと思う。 俺達は、会話を交して。 たった1mmづつかもしれないけど、確実に距離を縮めていた。 .
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