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「おしっ、着いたぁ!」
30分近く走って、漸く到着した海岸に自転車を停めて、グーっと大きく伸びをした。
「ずっと自転車漕いでた割に、元気やな」
あー、しんど。
ブツブツと文句を言いながら、荷台から降りる秀介も、軽く伸びをしている。
「…ほんで、なんでこんなトコまで連れて来たん?」
暫く2人で砂浜を歩いていたら、砂を蹴って遊んでた秀介が俯きながら問い掛けてきた。
「ん?…うん、色々と秀介に話したい事あったからさ」
座らない?と促して、俺たちはその場に腰を降ろす。
「それに、」
ジッと俺の様子を伺っていた秀介の方に顔を向けて、眼を合わせる。
「一回、秀介と来てみたかったんだ、海」
なんか、デートって感じするでしょ?
「…健志って、ほんまアホやな」
そう言って笑いかけた俺に、秀介はちょっと前と同じ笑顔で悪態を吐いた。
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