Last 7. 恋 愛

7/9

135人が本棚に入れています
本棚に追加
/61ページ
サワサワとなびく風の音、退いては寄せる波の音。 時間帯の所為もあるのかも知れないけど、周りに人は居なくて。 割りと静かな空間に、それらの音が響く。 「…あの子さぁ、前から俺の事好きだって、言ってくれてたんだ」 少しの沈黙の後、俺はゆっくりと口を開いた。 「…あの子、って、今朝健志とキスしてた子?」 「そう」 秀介は、決して俺から眼を外そうとはせず、話を聞いてくれてる。 「でも俺、その時にはもう秀介が好きだったし。キッパリ断った」 「…そうなん?」 「うん、秀介には逃げられ撒くってたけどね」 小さく笑いかけても、秀介は真顔のまま、次の言葉を待っていた。 「だから、彼女と付き合ってる訳じゃないし、秀介以外に好きヒトは、いない」 これでもまだ、信用出来ない? 真直ぐに秀介を見て、想いを吐き出す。と 「…っわ!え、しゅう、すけ?」 突然、秀介に抱き締められた。 華奢な腕が包み込むように優しく、暖かく俺の背中に回されてる。 .
/61ページ

最初のコメントを投稿しよう!

135人が本棚に入れています
本棚に追加