135人が本棚に入れています
本棚に追加
/61ページ
「…だって、キス、してたやん」
「それは、向こうが一方的に「それでもした事に変わりない!」
話を遮って捲し立てる秀介の声が、少し鼻声のような気がするのは、俺の気のせい?
「ごめん」
「その子まだ、健志の事諦めてないんちゃう?」
「どう、だろう」
「否定せーよ!」
勢いよく顔を上げた秀介の目尻は、やっぱり少し湿っていた。
「ごめん」
「お前は謝る事しか出来ひんのか」
そう言って笑うと、秀介は素早く顔近付けて、スッと唇を重ねてきた。
軽く触れただけなのに、妙に甘く感じる。
「…お仕置や」
唇が離れたと思ったら、今度は額に額をくっつけられた。
「これ、お仕置なの?」
「そーや」
また、ギュッと抱き締める。
「もう2度と、俺以外の奴とキスなんて、せんといて」
切ない声が、耳の奥に甘く溶けていく。
.
最初のコメントを投稿しよう!