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side.k・murakami
あれから、また30分近くかけて秀介の家の近くまで戻ってきた。
帰りは、コンビニに立ち寄ったり、ちょっと道草くったりして。
着いたのは、もう夕日が沈み始める時間だった。
「送ってくれて、ありがとう」
荷台から降りて俺に向き直った秀介は、戸惑いながらも笑顔でお礼を言ってくれた。
やっぱり、笑うのは苦手らしい。
「どう致しまして。…なぁ、秀介」
「ん?」
「まだ、『俺いつか棄てられるかも』とか思ってる?」
あの会話で、秀介の不安全部取り除けた、なんて思わないけど。
やっぱり、気になる。
「もう思ってないよ」
「…ほんと?」
「ぉん。健志の気持ち、ちゃんと届いたし。それに…」
健志に愛されてるって、自信持てたから。
珍しく、照れて頬を染める秀介を見て、俺は改めて思った。
(あぁ!俺ってホント幸せ者だわぁ。こんな格好良くて可愛い彼氏が居て!)
なんて、幸せに浸ってたら。
「しゅーすけー!!」
聞き慣れない声が、この幸せな空間を切り裂いた。
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