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「いやあ~可愛いな…貝塚先輩は~」
ジュリエットを演じたのは貝塚和香(のどか)だと判明した。
「あ~可愛い…って!!」
佳代が一期にグーで頬にパンチをした。
「って~な」
「さっきから先輩先輩ってうざいわ」
頬を押さえる一期に容赦なく攻撃(勿論、口です)をする佳代。
「…あたし」
急に顔を赤くして横を向く佳代…
「一期がすきなのっ」
「え?」
感情を抑え切れなくて、ついに云ってしまった佳代。
「佳代…?」
「ねえ、答えてよっ、アンタはあたしのこと…」
「好きだよ」
そう答えた一期…しかし、それとは裏腹に嬉しそうじゃない表情。
「でも、友達以上に感じたことはない」
佳代の眼には涙が溢れていた…
「そんなに、あの先輩のことが好きなの?」
もう、自分のことで精一杯な佳代は問い詰めることしかできなかった…
「わかったよ…バイッバイ」
そう云い、一期に背を向け走った---
最後まで声を噛み殺しながら喋った佳代…
最後の『バイバイ』で堪えきれなかったのだろう…
「ごめんな…佳代」
自分が鈍感だってことは一期自身が一番知ってた…
佳代のキモチに気付けなかったのだから。
一期の視界からは、佳代が段々小さく映っていた。
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