恭ちゃん.

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次の日。8月8日。 朝から恭ちゃんに誘われた。 恭ちゃんとマコト君と、それからあたしの三人で一緒に遊ぶことになった。 恭ちゃんとの待ち合わせに、田んぼ道を通る。 この道の先にあるコンビニで待ち合わせをした。 まだ起きたばかりの朝で、それも今年の夏は冷夏と呼ばれるぐらいだったから太陽の日差しは、少し弱い気がした。 それでも汗をかいて自転車をこいだこの道。小さな時から色んな思い出がつまってる。 あたしが少し寝坊しちゃって、この道の途中まで迎えにきてくれた。 「遅いぞ」 なんて恭ちゃんとマコト君にいわれて笑いながら。 そのあとプリクラを撮ろうって、 初めて二人きりになった。 プリクラ機の中。あの空間。二人だけの世界。 狭い、機械の中にぎこちない顔つきの二人。人差し指と中指をたてて ピース。 それさえもどきどき。 「恭ちゃん全部同じ顔」 なんてからかいながら幸せを噛み締めた。 手をつないで歩いた道。手を離すタイミングを知らない幼いあたし達は暑い夏に汗をかきながら、 ゆっくり ゆっくり 踏みしめる。
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