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「「…」」
話すことがなくなって、微妙な空気が流れている。
「…じゃあルイさんとりあえず家に入りましょ?」
「あっ、そうですね」
あたしが家の鍵を開けてどうぞと言うとルイさんは礼儀正しく失礼しますと言って家の中にあがった。
リビングに案内し、ソファーに座ってもらいキッチンで紅茶をいれた。
「ルイさん、紅茶どうぞ」
「ありがとうございます」
あたしもルイさんと向かい合うようにして座った。
「「…」」
またしても、沈黙が続く。
(気まずい…何話していいかわからないよ…)
その沈黙を打破できる話題はないかと探してみるも、なにもない。
元々、あたしは話す方ではない。
相手が話しているのを聞いていることの方が多い。
だから、こういう沈黙には弱い。
沈黙に耐えるようにずっと紅茶を飲んでいると、ルイさんが口を開いた。
「あの…」
「はっ、はぃ!?」
声が裏がえってしまった…
あたしのすっとんきょうな声を聞いたルイさんはクスクスと笑った。
「そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ」
「は、はぁ」
「それで、雛さん。お互い敬語止めません?同い年なんですし…」
「あっ、はい……ん?」
「どうかしました?」
「今、同い年って…」
「はい。明日から雛さんと同じ学校に通います」
あたしは呆然としていた。
ルイさんは大学生くらい、あたしより年上だと勝手に決めつけていた。
言葉使いも、たちふるまいも、その高い身長も同い年にはとても見えなかった。
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