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っ……俺は……生きてるのか?
頬にあたったふわっとした感触に起きると、奴はいなくなっていた。
炎上していた町は、雨により鎮火されて黒い煙をあげている。
奴はどこにいるんだ……何故腹部の傷が消え、俺を起こしたのが忌まわしき奴の羽なんだ。
これ以上の屈辱は無い、奴に情けをかけられるなんて最大の屈辱だ。
そうだ、父さんと母さんは!
どうか無事でいてくれ!
俺は生まれて二度目、本気で走った気がした。
とにかく早く父さんと母さんの無事を確かめたかった、俺はドアを蹴り壊した。
そこにあったのは見慣れた人の面影を残した炭の塊だった。
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