学園の変わり者

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「え~……本日はお忙しい中、レイティス魔法学園の入学式に来ていただき誠にありがとうございます。今から学長の話があるので、寝ないで聞いてください。」 『この教師は新米か……最初の台詞は保護者に言うべき台詞だろう。』 ヴェンは若い教師の話を眠そうに聞いていた。 『やはり聞くに値しないな、こういう話は寝る……!?』 若い教師の話が終わると、腰までの金髪をまとめた、眼鏡をかけた男が壇上に上がった。 壇上に上がった男からは、学長とは言え教師にしては異常に膨大な魔力が感じられる。 『なんだこの魔力は……どうやら教師も捨てたものではないらしい。』 ヴェンは学長の魔力を肌で受け止めると、冷たく微笑んだ。 「……随分と寝ている者が多いな……とりあえず私が学長のゼロス・クロードです、以後お見知りおきを。」 ゼロスは挨拶を済ませると同時に、右手から透明で小さな球体を放った。 球体は生徒達の頭上で止まると、唐突に巨大化を始めた。 「悪いことは言わない、寝ている者は起きた方がいい……球体は君達が寝るほど巨大化して、最終的には爆音を発して爆発するからね、近くに寝ている者がいる者は今すぐ起こした方が自分のためであり寝ている者のためだよ。」 『冗談じゃない、爆音を発して爆発するだと?……この学長、魔力に見合ってかやることが常識から逸脱している。』 ヴェンはいきなりゼロスがとった行為が、全く信じられなかった。
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