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ゼロスの言葉の意味に気づくと、寝ている者を起こす者が増え始めた。
「……ほう、良い傾向だ。」
ゼロスは暫く生徒達の様子を見ていると、手を叩いて爽やかに笑った。
生徒達はゼロスを見ており、既に寝ている生徒はいなかった。
「さて、私からの話は二つ……絶対に死ぬな、それと中途半端な覚悟は捨てろ……私からはそれだけだ。」
『ほう、この男……既に捨てた過去を経験済みか。』
多数の生徒達はゼロスの言葉に唖然として、ヴェンはゼロスの言葉の意味をしっかりと理解していた。
「私の話はこれで終わる……こういう話はつまらないから寝るに限る、私もそれには同意するよ。」
ゼロスがその言葉を発すると、数人の生徒達は再び寝息をたて始めた。
そしてヴェンはそれを確認したゼロスから、微量だが炎属性の魔力を感じ取った。
『炎属性の魔力、まさかこの男……』
ヴェンは何を思ったのか、急いで耳を塞いだ。
「油断は禁物だよ……それに、今から寝ていて授業に耐えられるのかな?」
そう言ったゼロスが指を弾くと、透明な球体は一気に巨大化して……
ズドォンッ……!!
突然の爆音に生徒達は椅子から倒れ、飛び上がり、そして耳を押さえて転がる者もいた。
『っ……今のは間違いない、炎属性の上位魔法“エクスプロード”の爆音…………上位魔法を無詠唱で使い、それを魔力で更に押さえ込んだ……ゼロス・クロード、どうやら相当の実力者らしいな。』
ヴェンは爆音に備えて耳を塞いでいたため、ある程度は軽減できた。
結局教師達も爆音に気絶してしまったため、入学式はそこで終了となった。
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