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「その片足を切られた女の子はあれからどうしたの?」
「確か赤い靴を知り合いの店に売ったそうよ。あんなに気に入っていたのに赤い靴を履いたばかりに片足を失ったんだから、側におきたくない気持ちはわからないでもないわ。でも……その一週間後、その少女は死んだらしいわ」
「え」
「突然死、らしいけど私はあの少女の呪いだと思うの」
―赤い靴の少女は空想の話じゃないわ
家に帰り、自分の部屋に入っても、まだ友人の言葉が耳にこびりつく。
―現に最近のニュースで両足を切断される事件が多発しているわ
「っ……」
異様に心臓がドキドキする。
―だから美砂、絶対赤い靴に手を出しちゃ駄目だよ
『…なんでそんなに詳しいの?』
―……知り合いがブランドものの高い赤い靴をハワイで買ってきたの。その子は赤い靴の少女の話を知らなかったわ。それに知っててもそんな話信じなかったと思う…
「……赤い…靴…」
心臓が痛い…
―その子は両足を切断されただけじゃなく、中の臓器をも引きずり出されるという残虐な殺され方だったわ……、本物の…自分が気に入っている赤い靴は未だ手に入らない少女は日に日に狂気さを増している……、最初は両足を切断するだけで満足だったのに今はそれだけじゃ駄目なのよ…その少女は…
友人の苦痛の顔が蘇る。今にも泣きそうな、苦しい顔…
―私はこの話を友達や後輩に話して広めている。中には信じない子もいるかもしれない。でも被害を少なくする為に話してる。もう、知り合いが死ぬのは見たくないから…。だから…美砂
「わかってる。私は大丈夫だよ。赤い靴なんて手に入れないから…」
しかし出会ってしまう、魅入られてしまう。
少女が導いたのかわからない、あの恐ろしくも鮮やかな赤い靴に…私は嫌でも出会ってしまうのだった…
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