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暗い寝室。
こうして床に横たえた身は、さながら川に流される小枝のようだ。
拠る辺も無く、覚束なく、頼りない。
流れる川が急流か穏やかなのかも知らず、浅いのか深いのかも知らず、流され付く先に滝があるのか、淀んだ湖があるのか、大海に通じるのかも知らず。
ただただ流れに身を委ねるだけ。流されるだけ流されて、拠る辺があればよし、なければ……それもよし。
結局『落ち着かない』ことに慣れて、落ち着きを取り戻すだけ。
そもそもの始まりの時、母から生まれ出た瞬間から、落ち着くなどという状態とは縁遠いはずなのに。
それでもいつか落ち着くのだろう。最後にはきっと落ち着くのだろう。
では今しがた感じた落ち着きは?
幻想でしかないのか。
諦めは落ち着きに似て非なるもの。
慣れは諦めの水先案内人。
小枝が泳ぎを知らぬと誰が決めた?
僕を小枝と誰が決めた?
考えているうちにまどろみ、夢を見た。
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