#00 プロローグ

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─ある学校の理事長─ 「………という仮設があります」 私が話を終えると職員達がざわざわと話はじめる。 致し方あるまい。 私はしばらくその光景を静かに見守っていた。 「理事、やはり派遣すべきではないでしょうか」 一人の職員が私のところへ来て、進言をする。 この質問は予測できたことだ、その返答も用意してある。 「…私もそう考えている。…職員を3人程、調査団として派遣したいのだが」 他の職員もその話に聞き耳を立てていたらしく、直後誰一人無駄口を開かなくなった。 「誰か、腕に覚えのある者は」 静まり返った職員室は物音一つしない。 「理事、一つ提案があります」 メガネをかけた若い男性職員が立ち上がった。 私は頷き、続きを話すよう促した。 「今年入学する一年生に、授業の一環として行わせるのはどうでしょうか」 「おいおい、いくら何でもそれは!」 メガネの職員の発言に対し、がたいの良い男性職員が反論を持ちかけた、様子を見るとしよう。 「ならばあなたがやりますか?」 「!…それは……」 メガネの職員の反論にがたいの良い職員は小さくなってしまう。 無理もないだろう、これは正義だの何だのが通用する問題ではないのだ。
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