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自分の部屋に戻ってからも銀月は考えていた。
「…心残りか…」
頭に思い浮かぶのは、自分が手に掛けた親友と婚約者の事。
「心残りがあるとしたら…オレを恨んでるだろうな」
銀月は、小さく呟く。
気になる…あの二人が訪れたのかが…気にする資格が自分には無いのになと思う。
後日、雨月書庫を訪ねて、それとなく魎月に聞いてみようと思い、その日は眠った。
夢を見た……些細な言い争いで親友を手に掛けた……そして、それを咎めた婚約者も………。
血に染まる両手、傍に転がる血塗れの二人が無言で銀月を見つめる……。
『許さない…』
そう聞こえた…同時に、恐怖、罪悪感が胸を掻きむしった。
咄嗟に、銀月の意識は現実へと引き戻された。
そこでいつも、目が覚めるのだった…。
「…また…あの夢か…」
深く溜め息をつきながら、片手で目元を覆う。
「これも…罪なんだろうな……」
低く、悲しげな声が薄暗い部屋に響いた。
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