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翌日、ロクに眠れないまま銀月は、雨月書庫へと向かった。
相変わらず、本棚まみれで静かな場所で主の魎月は、煙草を吸いながら本を読んでいた。
「…おはよう…魎月…さん」
「敬称はいらん…普通に話してくれ。何の用だ?」
ロクに顔も見ないで話す魎月の態度にやや戸惑いはしたが、銀月は、聞きたい事があると言うと、魎月は、本から顔を上げた。
「何だ?」
「その…この写真の人達が来なかったか?」
魎月に一枚の写真を手渡す…写真には、中央に銀月、その左右には、清楚な雰囲気の女性とモノクルを掛けた青年が写っていた。
魎月は、吸っていた煙草を灰皿に捨てて、冷静な声で話し出した。
「…男は来なかったが…女は来たな」
「なっ!本当か!薫(カオル)が来たのか!」
銀月が、魎月に詰め寄るが、魎月は、冷静な態度を崩さずに答える。
ただ、赤い瞳が何かを悟った様に銀月を見ていた。
「…そうか…お前が、彼女の言ってた人物か」
「アイツ…薫は…何か言ってたか?」
「…俺からは何も言えないが…お前の事を気に掛けていたのは確かだ。」
その後も魎月は、薫の事を簡単に銀月に説明した。
銀月は、時折、相槌をうちながら黙って話を聞いていた。
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