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「成る程な…だから俺に聞きにきた訳か」
「ああ、朝早くから悪いな…」
「ここでは…時間は関係ないからな。気にするな」
相変わらず魎月は、静かな口調を全く崩さずに語ると二本目の煙草を吸った。
表情も口調も今まで見た限りではあるが、冷静そのものだ。
(冷静と言うか…人間味が感じねーな…)
表情も笑ったり、怒ったり、悲しんだりというのが感じられない上に、口調もまったく変わらないのが奇妙に感じた。
「銀月…だったか?」
「ん、ああ!」
「彼女の…心残りは満たされた…無事にあの世へ向かったから…その辺りは心配するな」
銀月は、意外そうな顔をして魎月を見た。
気にかける様な言葉を掛けられて面食らったのだった。
それを察したのか、魎月は怪訝そうな表情を浮かべて銀月をみた。
「何だ?」
「あ…イヤ、何でもない…有難うな、無事にあの世に行けたんだな…」
本当なら会いたかったが、会ってもどうしたらいいか分からない、第一、何を言えばいいかも分からない。
自分が殺してしまった相手に…。銀月は、表情を曇らせた。
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