第一話 「ある日の雨月書庫」

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本棚が並び、静寂な雰囲気が漂う…雨月書庫、以前と変わらない雰囲気だが、1つ…変わった事がある。 以前の主、魎月(リョウゲツ)は、もう居ない……今は、新しい主が雨月書庫を管理している。 「ガク…寝るなら部屋で寝ろよ!」 黒髪に黒いスーツ姿の青年が、ソファーに座りながらうたた寝をしている茶髪の黒コートの青年に声をかけた。 「…んー…あ、ゴメン!寝てた!」 ガクと呼ばれた青年が、目を覚ます。 桐生 学(キリュウ ガク)…魎月の最後の客であり、現在の雨月書庫の新しい主だ。 性格は、今時の若者らしく明るく、ふざけた言動なども多いが、他人の為に役に立ちたいという思いを持つ優しい青年である。 魎月の…そして、銀月にとっても大切な友人である。 「熱心なのはいいが…休む時は休まないと身体壊すぞ?」 「あはは…分かってるって!けど、オレはまだ成り立て主だからさ~、色々と勉強しなきゃならないワケなんだよ」 ガクが笑いながら読みかけの本に再度、目をやると読みかけの本に何か挟まってるのに気が付いた。 「銀月~コレっていつ頃の写真?」 「どれどれ…あぁ、懐かしいな!」 ガクが見せたのは、一枚の写真だった。 写真には、魎月と銀月…そして見慣れない茶髪の癖毛の少年が写っていた。
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