君へ

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  触れ合えない寂しさを ごまかすように 何度も何度も語りかける 返らない返事に 気付かないふりをして ───ねえ? 声をきかせて その手に触れさせて あたたかいぬくもりの君を思い出したいのに 蘇るのは 震えながら何度もなぞった 冷たく硬い君の頬 忘れられない うすくはいたような笑み 一晩中話しかけてた とじたままのまぶたが どうしてあかないのだろうと かたまった笑顔だけでは 君ではないのに どこかに温もりが残っていないかと 何度も何度も抱き締めたのに 君の手は冷たく 私をうけいれてはくれなかった ───あの夜からずっと 君の声は私にはきこえなくて わたしはまだ 前にはすすめない  
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