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ザーーーー
ザーーーー
強い雨が降っている
その街
いや、廃虚の中央の広場で一人の少年が泣いていた
両脇には父と母らしき姿が横たわっているが動かない
目には光を灯していなかった
死んでいたのだ
少年はその死体に向かって必死に叫ぶ
「お父さん、お母さん、ねぇ、起きて」
体を揺するがやはり動かない
「起きて、起きてよ!」
少年の涙は雨に混ざり消えてゆく
遂に少年は膝を着き、泣く
「……さない」
少年は顔を上げて空を見る
「許さない」
「神様……か……許さない、絶対に許さない」
少年の目は既に涙で濡れておらず、怒りにより深い
『憎悪』に燃えていた
「僕は許さないよ神様、殺してやる、殺してやる!」
握りこぶしを強く握りしめ
「この、貴方から貰った醜き力で…必ず」
その少年の背には
巨大で紅い羽が揺らめいていた
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