冬に咲く花の名は

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本部へと入っていく葵。 姿が見えなくなると、陽はセラにもたれかかり言った。 「ふぅ……。流石に疲れたね」 「うむ。陽、大丈夫か? 葵がログアウトした後もお前はプレイを続けていたからな」 「ヒロにレベル上げを怠るなって言われてたしね。葵に気を使わせたくなかったし」 「陽らしいな。ここ数日ほとんど寝てないだろう。少しは休んだらどうだ」 「うん、そう……する…………」 「おい、陽。休むならログアウトをしてから休め」 「……すー……すー……」 陽はセラにもたれかかったまま安らかな寝息を立てている。 セラはやれやれと言った様子で、陽を起こさぬよう優しく背中に乗せると、近くの落ち着けそうな木の下へと移動した。 † 陽が目覚めたのは夕方の六時だった。 「…………いつの間にか寝ちゃってたのか」
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