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秋空。
水色の空に浮かぶ白い雲の数を数えたくなる昼下がり。
もちろん、それは校外にいるものに当てはまり室内にいる彼らにとっては天気などはどうでもよかった。
高校3年。受験生が集まるこの教室。室内にいるほとんどの視線がひとつのグループに集まり、その中でも一人の少年に視線は集中していた。
「なんで、そんなにおどろくわけ?」
視線の中心にいた朝倉ハジメは紙パックにささったストローに口をつけた。
そりゃ、当然だろ。
周りの彼を知る人間なら思わずにはいられなかった。
「熱でもあるか?」
真剣な表情をしたのは直樹。
「ねぇよ」
額に当てられようとした手を振り払う。
「失礼なやつらだな。俺が誰かに惚れるのっておかしいか?」
「おかしい!!」
即答された声は一つや二つではなかった。
「…………ハジメ。ちょっとこい」
こんな、人の視線や耳が気になる場所では話す事ができないと判断した直樹はハジメを半ばひきづるように教室を出た。
「俺の昼飯ぃ!!唐揚げ!!」
ハジメの声だけを教室に残して。
ハジメが連れてこられたのは、一般生徒には立ち入り禁止がされている屋上。いわゆる、不良の溜り場のような場所だ。真っ赤に髪を染めている直樹はもちろん、薄いセピアの髪のハジメもそこの常連。
「お前、好きな女いないんじゃなかったのか?」
手に持ったままの紙パック入りのジュースを喉にながし、空になったそれをハジメは潰しコンクリートにあぐらをかいで腰を下ろした。
「言ったっけ?」
ケロッと笑う。
「…………」
直樹は長い付き合いにより知っていた。このハジメは彼女と呼ばれるものはほとんどいなくとも、女好きと言われるのだ。
チラリと、ハジメを頭のてっぺんから足先までみわたした。
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