第一章『始動、黒き森の住人』

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校内放送がなった。 『【絶望の始まり】は至急、校長室に来て下さい。また、1年A組御剣くんも校長室に来て下さい』 放送が終わる、声からして、校長だった。 「死神……動き出したか」 とコートの男は言う。 御剣にとって、さっきの放送は、救いの手のようにも聞こえた。 同時に、立ち上がる勇気も与える。 その原因は、御剣に目的地が出来た事、よってここから立ち去ることが出来る。 「急がねば……」 コートの男はそう言うと同時に、走り出した。 それに対応するように、御剣も動き出した。 進行方向は教室のドア。 一瞬コートの男を見る、その手には椅子が握られていた。 迷わず……投げた。 椅子は弧など描かず、野球のストレートのように真っ直ぐ、ブレることなく突っ込んでくる。 しかもその速度が尋常ではなく、椅子はもう御剣の目と鼻の先。 「うわああああああ!!」 御剣は思わずしゃがみ込んだ。 ガァァン!! 椅子は黒板にぶち当たり、しゃがみ込んだ御剣に落下する。 頭をガードしていた御剣に、ダメージはあまりなかったが、精神には大きなダメージがあった。
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