始まり

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入学式が始まる30分前。 校門に立ち尽くす一人の人物がいた。 前髪が右目が隠れるくらい伸びているが、今どきの青年みたいに髪はたっておらず、少し天然がかっている。 制服は短すぎず、長すぎずキッチリ正しく着ている。 上はブレザー、下はスラックス。 「まさか…受かるとは…まだ実感わかねぇな…」 そんな事を校門の前で言っている人物の名は『御剣流星』(みつるぎりゅうせい)今年からこの学校の生徒となった。 「いきなり私立から公立なったばかりだからって、一般の倍率が5倍なんて……」 この深緑高校は前年まで『天地学園』という校名だった。 どういう事か校名が深緑と変わり、公立になった。 今まで推薦でしか生徒をとらなかったこの学校。 今年からは一般入試が行われるようになった。 簡単に言えば、新しく出来た学校である。 そこに志望が殺到するのは無理もないのかも知れない。 更に定員は60名。 倍率は勿論跳ね上がる。 「まぁ……一つ言えば受かって当たり前かもな!!勉強は得意だから」 御剣は優等生、テストはほぼ確実に一位、生徒会長であり学級委員長、しかしスポーツ万能というワケではない。 体育が一番苦手。 スポーツテストでEをとる程度、もの凄く運動が出来ない。 「さっ早く行かないとな…」 御剣は校門を超えた。
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