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「君は今、そんな事はどうでも良い事だ……、早く助けて欲しい……、そう思っているんじゃないかね?」
写真を懐に仕舞いながら、牧原は続ける。
「でもこれは、とても重要な事なんだよ。我々にとっても勿論、君にとってもね。」
次に牧原が内ポケットから取り出したのは手鏡。
それを写真を見せた時と同じ様に彼に近付ける。
そして鏡に映る自分を彼は見た。
嗚咽は悲鳴に変わる。
そこに映っていたのは……、恨み言を連ね続けてきた容姿ではなく、苦悶の表情を浮かべる写真の少女の姿だった。
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