第一章 ファクトリー

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西暦2125年 日本、東京都第三地下施設『ファクトリー・本部』 この地下施設は、日本全体を牛耳るアダム社が建ち上げた、国内47都道府県に一つずつある『ファクトリー』と呼ばれる戦争請け負いギルドの本部。 内装はコンクリートと鉄筋で固められた殺風景な場所だが、東京ドームと同等の広さは在る。 施設内は常に百人近い人間でごった返し、昼間から酒を飲む者や喧嘩仕合う者達で溢れ返っている。 施設の奥には大きな机とカウンターが在り、そこで他国からの依頼を請け負う。 カウンターには数人の男達が、仕事を捜していた。 この仕事を始めてからまだ二年の勇司も、仕事を捜す為にカウンターで適当に物色していた。 『岡崎勇司(おかざきゆうじ)』 黒い短髪で20歳の新米。 袖がだらし無く垂れ下がった服と、裾が擦り切れてしまったジーンズを履いている。 「これにするか。 手続きを頼む」 勇司は仕事が並ぶリストの中から一つを指で指す。
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