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「んっ…此処は?」
そこは、見た事の無い場所だった。目の前の壁には箪笥が有り、右手にはカーテンが風でなびいていた。そして、自分の右横には小物入れと、その上に花瓶があり淡い赤色の綺麗な花が箪笥の方を見ていた。そして左手から、がちゃっと音がしたのでそちらの方を見てみると、押し開きのドアから見たことの無い女が入って来た。
「大丈夫?此処は私の家よ。あなたあんな所に倒れてるんだもんビックリしたわ」
女は目覚めた男にそう言った。その女は漆黒の髪を肩甲骨辺りまで伸ばし、淡く青みがかった瞳をしていた。まだ若いが、どこか隙の無い佇まいをしてる様に感じた。
「あんな所?」
男は聞いた。
「ええ、あなた砂漠の真ん中に倒れてたの。最初はオアシスかと思ったけど、あんな所にオアシス何て無いし、オカシイと思って行ってみたらあなたが倒れてたのよ。良かったわ、目を覚ましてくれて」
「何故俺をオアシスと間違えたんだ?」
「あなたを見つけた辺りが光ってる様に見えたの、だから間違えたのよ。さぁ、ずっと寝てたんだし、お腹空いたでしょ?何か持って来るわ。」
そう言って女は部屋から出た。
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